Yamanashi 2025 ~ 甲州郷土料理 九十九 甲府店
甲府の夜に、甲州の味を思い出す店がある
甲府駅から歩いて3分。県庁のすぐそばという少し堅い印象のエリアに、肩肘張らずに甲州の味と向き合える店がある。甲州郷土料理 九十九 甲府店だ。
この店の料理は、派手さよりも「らしさ」を大切にしている。例えば、甲府名物の鶏もつ煮込み。甘辛いタレの奥に、きちんと下処理されたレバーのコクがあり、一口で「甲府に来た」と実感できる味わいだ。
富士桜ポークや馬すじ煮込みも同様で、素材の良さを誇張することなく、酒と一緒に食べて完成するように仕立てられている。だからこそ、日本酒もワインも、山梨のものが自然と並ぶ。
九十九で出される生ワインは、料理を引き立てるための“脇役”に徹している。重すぎず、軽すぎず、煮込み料理の余韻を邪魔しない。気づけば、杯が進んでいた。
店に入って気づくのは、スタッフが若いということだ。ただし、その若さが落ち着かなさに繋がることはない。声の掛け方、料理を出す間合い、さりげない気配り。どのスタッフもよく目が届いていて、不思議と安心して過ごせる。
個人的には、甲州ほうとうといえば「小作」がまず浮かぶ。ただ、この日はたまたま休みだった。せっかくなので九十九でもほうとうを頼んでみたのだが、正直なところ、生ワインをかなり飲んでいたせいもあって、細かな比較はできない。それでも、「あ、これはちゃんと美味いな」と思えた。無理に尖らせず、酒のあとでも重たくならない仕上がりで、ほうとう目当てでも十分おすすめできる。
観光客にとっては、「どこに入れば間違いないか分からない」甲府の夜に、安心して選べる一軒。一方で地元の人にとっては、特別な日でなくても立ち寄れる、少しだけ気分の上がる場所だ。
派手な演出はない。だが、山梨の食と酒、そして人の距離感が、きちんと今のかたちで整っている。
甲府の夜に、甲州の味を静かに確かめたくなったら、思い出してほしい店である。










