My WRANGLER THE ARCHIVES SERIES ~ DENIM JAKET & DENIM PANTS

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My WRANGLER THE ARCHIVES SERIES ~ DENIM JAKET & DENIM PANTS

2000年頃から、私はWRANGLERのヴィンテージを本格的に集め始めた。きっかけは、ネットワークの故・高橋さんの影響だった。当時、LEVI’SやLEEが語られる文脈とは明らかに異なる角度から、WRANGLERの持つ無骨さと合理性、そしてどこか説明しづらい“乾いた色気”を教えられた記憶がある。

WRANGLERは日本において、常に不安定な立場に置かれてきたブランドだ。VAN Jacket Inc.から始まり、Wrangler Japan、VF Japan、Lee Japan、EDWINと、代理店および運営会社は幾度も変遷してきた。そのたびに「復刻」の解釈は揺れ動き、時にはオリジナルとは似ても似つかない、言ってしまえば“偽物のような復刻”が市場に並んだことも少なくない。

だからこそ私は、Wrangler Spiritsのブログなどを参照しながら、細部を研究するようになった。年代、仕様、生地、縫製。調べれば調べるほど、WRANGLERというブランドがいかに一貫性を持たず、それゆえに誤解され続けてきたかが見えてくる。しかし不思議なことに、そうした混乱を理解したうえでも、私はリプロダクションそのものを嫌いにはなれなかった。

コロナが流行したあたりで所有物を断捨離したことにより、所有していたWRANGLERのリプロダクションは手放した。しかし現在も着続けているものがある。2016年にリリースされた、11MJ PROTOTYPE JACKET(1948)をはじめ、2021年にリリースされた111MJ JACKET(1951)、11MJZ JACKET(1958)だ。その後、オンスを増したバージョンや2025年に2021年モデルが再ラインナップされているが、私が着ているのは、オリジナルの思想を意識したモデルだ。

そして今回、24MJZ JACKET 1964 MODELを購入した。WRANGLERのリプロダクションで、このモデルを買うのは初めてだ。理由は明確で、11MWZ 1964 MODELとのセットアップで着られるからである。オリジナルのヴィンテージを着ることもあるが、個人的には色の濃さを重視しており、結果としてリプロダクションを選ぶ機会が増えている。

1964年という年は、WRANGLERにとって一つの完成形だと思っている。シルエット、実用性、若者文化への接続。その空気を上下で着ることで、ようやく見えてくるものがある。

また、10MW 1964 MODELにも特別な思い入れがある。11MWZと同様にわずか1年しかリリースされなかった耳付きジーンズ。過去にWrangler Japanだったと思うが復刻した際にも購入したが、2023年に再度リリースされたモデルも気に入っている。こうした過渡期のプロダクトにこそ、WRANGLERの本質が滲んでいるように感じる。

ピーターマックスシリーズを含め、私はWRANGLERが好きだ。だが正直に言えば、一般的な評価は高くない。街で着ていて褒められることはほとんどない。LEVI’Sなら一目で分かる。LEEも語りやすい。しかしWRANGLERは、説明しなければ伝わらない。

それでもいいと思っている。WRANGLERは、多数派に向けたブランドではない。知識や文脈を共有できたときにだけ、静かに通じ合う服だ。褒められないことに、少しだけ不満を感じながらも、私はこれからもWRANGLERを大切に着続けていくつもりだ。

理解されにくいからこそ、着る意味がある。そう思える服は、そう多くはないのだから。

11MJ PROTOTYPE JACKET 1948 MODEL

111MJ JACKET 1951 MODEL

11MJZ JACKET 1958 MODEL

24MJZ JACKET 1964 MODEL

わずか一年の「耳付き」が語る、WRANGLERの実験精神

WRANGLERというブランドが、最も意識的に“街”を見つめ、LEVI’Sを真正面から研究し、そして試した痕跡が、このモデルには濃密に刻まれている。

まず明確にしておきたいのは呼称の問題だ。ジッパーフライは11MWZ。ボタンフライは10MWと名乗るこの1964年モデルは、構造的にも思想的にも、MWZの単なる派生ではない。この64モデルに見られるディテールは、いずれもWRANGLERの文脈からすれば“異例”だ。右綾デニム。耳付き・割り縫いのアウトサイドシーム。本来は青糸であるはずの前立てステッチを、オレンジやイエローで走らせる試み。

さらには10MWに限ってはボタンフライへの回帰、しかもトップ下に4つ釦仕様の個体まで存在する。これらは偶然の混在ではない。意図的な「LEVI’S的記号」の引用である。

言ってしまえば、この10MW 1964 MODELは、WRANGLERによるLEVI’Sの模倣であり、同時に分析であり、そして挑戦だったのでは?

当時、タウンユース・ファッションの世界は完全にLEVI’Sに席巻されていた。カウボーイのためのジーンズというWRANGLER本来の立ち位置だけでは、都市部、とりわけ西海岸の若者文化には食い込めない。その現実を、ブランドは冷静に理解していたはずだ。1964年という年は、ブルーベルからの分離独立を翌年に控えた、いわば助走期間でもある。このモデルは、その独立後の展開を見据えた「布石」であり、市場調査を兼ねた実験モデルと捉えるのが自然だろう。

全米、とりわけ西海岸。

カウボーイではなく、街で穿かれるWRANGLER。その可能性を探るために、あえてLEVI’Sの文法を纏わせた。それが10MW 1964 MODELの正体ではないか。

結果として、このモデルは長くは続かなかった。しかし、だからこそ意味がある。量産され、定番化された完成形ではなく、ブランドが迷い、試し、揺れ動いていた一瞬が、そのまま形になって残っている。11MWZがWRANGLERの「顔」だとすれば、10MW 1964 MODELは、WRANGLERの「思考過程」そのものだ。耳付きであること以上に、一年で消えたこと以上に、このジーンズが今なお人を惹きつける理由は、そこにある。

11MWZの1964モデルと同様にわずか1年しかリリースされなかった耳付きジーンズ10MW 1964の不思議。

謎はまだ解明できていない。

10MW 1964 MODEL

11MWZ 1964 MODEL

 

 

 

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