My Thom Browne Collection ~ My Archive 2025
2006年、念願の1着目を手に入れてから、今年で19年目を迎えた。思えば、ただ「服を買う」という行為を超え、Thom Browneとの付き合いは私の人生そのものに寄り添ってきた。
買った当初は周囲から「なんでそんな短いパンツを?」と笑われることもあったが、雑誌の編集者やセレクトショップのバイヤーに褒められたこともあり、自分の選択に誇りを持てた。あの頃の1着は、今もクローゼットの中で存在感を放ち続けている。
その後、ブラックフリース期、国内展開の転換、そしてZegnaグループ傘下に入るまで、ブランドのフェーズは幾度も変わっていった。だが私のスタンスは一貫していた。「Thom Browneは戦闘服である」ということ。
ビジネスが激動期を迎えた時も、危機に直面した時も、Thom Browneのスーツを纏うと、不思議と背筋が伸びた。これはただの洋服ではなく、自分を支える鎧のようなものだったのだと思う。
もちろん、他のブランドにも浮気はした。ArmaniやZegna、Kiton、Brioni……。それぞれに良さはある。だが、最終的に自分が戻ってくるのはThom Browne。理由は単純で、「誰とも違う」ことを着るだけで体現できるからだ。
今ではブランドも世界的な認知を得て、かつてのように一部のファッションフリークだけのものではなくなった。だが、私にとっては今も「特別な日を迎えるための服」ではなく、「日常を戦うための服」である。
19年の歳月を共にしたスーツは、色あせるどころかむしろ深みを増し、私自身の歴史を刻んでいる。そして、20年目に突入するタイミングで思うのは、また新たな1着を迎え入れたいということだ。単なる物欲ではなく、次の節目にふさわしい「自分の物語を更新する1着」として。
一部、仲間や後輩へあげてしまったが、Thom Browneは、私にとって流行でも贅沢でもなく「生き様の証」である。20年目からの新しい章も、この戦闘服と共に歩んでいくつもりだ。







