彰郎ちゃんプレゼンツで常世長鳴鳥へ
店名に冠された「常世の長鳴鳥」は、日本神話の中でも象徴性の高い存在だ。太陽神・天照大神が天岩戸に身を隠し、世界が闇に覆われたとき、夜明けを告げるその鳴き声がきっかけとなり、再び光が戻った。
長鳴鳥は単なる鶏ではなく、停滞を破り、循環と再生を呼び起こす“兆し”として語り継がれてきた。興味深いのは、この神話の舞台が宮崎にあったとする説が存在する点だ。神話と土地の記憶が重なり合うその地で育まれた地鶏を、現代の食卓へとつなぐ。同店のコンセプトは、単に郷土食材を使うという枠を超え、日本の原風景や精神性までも一皿の中に封じ込めようとする姿勢にある。土地が持つ物語を尊重し、食材の背景にある時間の積層を丁寧に掬い上げる態度は、今の時代だからこそ価値を持つ。
「歴史ある食材を大切にし、提供する」という言葉は、決して懐古趣味ではない。神話が示す“夜明け”のモチーフのように、過去から受け継いだものを現代に照らし、次の時代へと手渡していく行為そのものだ。
常世の長鳴鳥という名には、食を通じて日本の記憶を呼び覚まし、静かに、しかし確かに新しい一日を告げる。そんな意思が込められているように感じられる。

















