オランダ発、究極の80’sディスコ・ファンク再発シリーズ : Masterpiece : Ultimate Disco Funk Collection
― VINYL MASTERPIECEと「Masterpiece: Ultimate Disco Funk Collection」の魅力 ―
ヨーロッパの80年代ソウル、ディスコ、ファンクのリイシューを牽引してきたオランダの名門レーベル、VINYL MASTERPIECE。その傘下であるPTG Recordsが2004年にスタートさせたコンピレーション・シリーズが、「Masterpiece: Ultimate Disco Funk Collection」だ。
このシリーズは、20年以上にわたって継続的にリリースされ、2025年現在ではVol.37まで到達。ディスコ・ファンク愛好家にとってはもはや説明不要の定番シリーズとなっている。
■ シリーズの始まりと方向性
第1弾「Vol.1」がリリースされたのは2004年。
当初から「究極のディスコ・ファンク集」というコンセプトのもと、1980年代のディスコ／ファンク／ブギーの名曲やレアトラック、12インチバージョンを中心に構成されている。収録曲の中には、これまでCD化されていなかったものや、レコードコレクターの間で高値で取引されるような貴重音源も多く含まれており、その選曲センスと掘り下げの深さで世界中のファンを魅了してきた。
■ “安定感”と“発見”の両立
「Masterpiece」シリーズの魅力は、何よりもその選曲のバランス感覚にある。マニアックすぎず、かといってベタすぎない。レアな12インチ・オンリー音源やマイナー・アーティストの隠れた名曲を掘りつつも、誰もが楽しめるファンキーでソウルフルな流れを維持する構成は、リスナーを飽きさせない。
最新作Vol.37でも、「まだこんな名曲があったのか」と唸らせる新発見があるというのだから、シリーズの底力は計り知れない。レコード音源からのリマスターも多く、音質にはバラつきがあるものの、それもまた当時の空気感をリアルに伝える“味”として楽しめる。
しかし、良い音は期待してはいけない！。
■ 記念ボックスセットとコレクターズ・アイテム化
シリーズ第10弾のリリース時には、全10枚＋スペシャルミックスCDを収めた豪華ボックスセットが登場。収録曲は全128曲にも及び、「80’sソウル～ディスコ～ブギー・サウンドって何？」という問いに対する決定版的な存在となった。このボックスセット以降、「Masterpiece」シリーズはリスナーのみならず、コレクターズ・アイテムとしての価値も高まり、限定盤としての希少性が増している。その後もVol.11からVol.20、Vol.21からVol.30もボックスでリリースされているが、スペシャルミックスCDは無い。
■ 「聴き込む時間」こそ最大の贅沢
80年代ソウルやファンクをリアルタイムで体験していない世代にとっても、このシリーズは“時代を遡る旅”のような存在だ。ノスタルジーと新鮮さが共存し、アナログ特有の温かみを感じられる。しかし、この世界を深く理解するには、やはり時間と資金、そして情熱が必要だろう。リリースされている楽曲数が膨大なだけに、聴き込む時間を確保すること自体が、もはや“音楽を愛する行為”そのものになっている。
■ 終わりなきディスコ・ファンクの旅
「Masterpiece: Ultimate Disco Funk Collection」は、単なる再発シリーズではない。それは、80年代の煌びやかなサウンドを未来へと受け継ぐ文化的アーカイブであり、世界中のファンク・ブギー・ディスコ愛好家にとっての「教科書」である。時代を超えて響くリズムとソウル、そして新しい発見を届け続けるこのシリーズは、まさに“マスターピース”という名にふさわしい。
個人的には現在、Roland TR-808がもたらしたサウンド革命以降のBoogie系のサウンドだけで3600曲を厳選して保存しているが、まだまだ奥が深そうだ！。